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パリ発 五感の穴

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そのほっぺにあるもの

いつもと同じ朝だ。朝起きて寝ぼけ眼で鏡を見る。

いつもと同じ朝なのに、何かが違う。とりあえず気にせずに顔を洗う。無添加せっけんを泡立てる。「泡立てる」という動作がどうもおかしくて、私はいつも必要以上にもこもこやっては、入道雲ほどに巨大化したそれを、おでこにつけて、ほっぺたにつけて洗う。

いつもと同じ朝なのに、突如感じる激痛。主に右ほっぺたに何か異物を感じる。痛く、かゆく、違和感を感じるため、丁寧に泡立てたせっけんを、泡立てに費やした1/3ほどの短い時間でさっさと洗い流す。まじまじと己の顔を見ると、そこに立派なポッチがある。もこもこせっけんに刺激を受けたのか、ピンク色になっている。そう、それは何を隠そう「おでき」のお出ましだ。

「にきび」とか、二十歳を過ぎてから「吹き出物」など、肌荒れにはあまり悩まない方だと思う。だが、そういうあまっちょろいものではない。にきびができたことなんて、数える程しかないのだが、できるときはもっとスケールが大きいのができるらしい。とにもかくにも、私の顔の、しかもほっぺという極めてイロジカルな場所に、「おでき」はできた。ぐーぐーすやすや寝ている間になぜかほっぺの上におできの一つでも作ってみようかということになったらしい。

ほっぺの上のおできというのは、とても厄介だ。顔の上にあるということは、自分には見えないということだ。日常の生活に支障はない。日常の営みを行う際、仕事をし、昼食を取り、水を飲み、ミーティングに参加するために、おできがいくらほっぺで頑張ろうと、こちらの知ったこっちゃない。

だが、奴をあなどってはいけない。ふとした瞬間に、頬づちの一つでも打とうものなら、手がほっぺを触れた瞬間に、激痛が走る。あーあ、だから気をつけてと忠告したのに、とおできが言う。後悔先に立たずだ。

おでき一つで何を言う、とお思いか。そんなこと、一人でその苦難を乗り越えるがいいとおっしゃるのか。それはあまりに殺生だ。無理な相談だ。なぜなら、痛いものは痛いし、いつも痛いのでなくて、無意識の動作やふと忘れた瞬間、突然罰ゲームがやってくるようなものなのだもの。

ここまで厄介なおできだと、おできに教訓を学んだかの錯覚にまで陥る。無意識になるとき、細部に気をつけないとき、大切なものを見逃してしまうのかも。見えてないからいいや、なんていい加減な気持ちを少しでも持ったとき、そのしっぺ返しは自分にかえってくるのかも。

おできにここまで振り回されるとは。わたくしもまだまだ修行が足りぬ。
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by Haruka_Miki | 2006-03-17 00:00 | 五感
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