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パリ発 五感の穴

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感服

昼どきによく通うすし屋さんがあります。いつもサラリーマンでいっぱいで、刺身と焼き魚の定食がお気に入り。OLが働きたい街の印象とは少々毛並みが違う、人情肌なお店です。

この店のウリはもちろん料理でしょうが、新鮮な魚と同じ位にご主人が粋であります。おもしろ親父というところだけれど、いやあ物知り。経済の話から江戸後期から明治にかけての日本の会社組織について、はたまた病院の歴史、海援隊に坂本竜馬に政治家の何々さん、実業家の何々さん、日本初の商社を創ったのはあの人でね、、と話は尽きない。

ちっとも説教臭くない。自分を卑下して笑わせる天性のものをお持ち。もちろん顔馴染みの常連さん、名前まで覚えているレベルの常連さんはいっぱい。カウンターに座る醍醐味は、この皆々様に交じり合うこと。

話好きの人好き。根っからの人好き。人が好きだから好きな魚を美味く出して、お客さんのことも研究。研究というと言葉は悪いのですが、知りたい探究心から料理以外のことも手広くチェック。勉強好きなんですね、と失言のあたくし。いやあお嬢さん、勉強じゃあないんだよ、あったりまえのことなんだ。お客さんが働いているような仕事のこと、社会のこと、そういうのを知ることは、知りたいってのは当然の欲だし、当然の姿勢なんだよ。自然だから勉強じゃないんだねえ。

何気ない昼飯の何気ないご主人のお言葉。こういうことをさらっと言えちまうご主人は粋だねえ。私は人間力が強い方にお会いするとべらぼうに弱い。あーいいなーとこみ上げてくるものがあります。ごまをすったり、皿回しでは人のご機嫌は取れても心に残らないのです。言わずもがな。本気のコミュニケーションで大切なことを、昼ごはんで知るのです。もちろん人間関係全般、またそれとは切り離されて語られる無味乾燥なイメージのビジネスっていうのでも、結局はこれなんだなと。相手を知りたいという気持ち。直接交流をすること。

おそらくは、多くの大企業の営業マンが気づかないこと、成し遂げないことを、彼はあのカウンターでいとも軽やかに、やってのけているのです。

お嬢ちゃん、「勉強なさい」と帰りには新聞の切り抜きを山ほど頂戴しました。ああ、私はあの主人を前に、まだまだ半人前です。
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by Haruka_Miki | 2006-08-22 00:00 |
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