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パリ発 五感の穴

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真冬の夜の夢

夜になって振り出した雨を怪訝そうに見ては、傘を持たない人々が足早に街を歩く。

雨が好きだ。晴れが好きだが、雨も好きだ。小さい頃から、雨が好きで、どしゃぶり雨なんて、これはまたすごく好きだったのだ。感性というものが、小学生時代からそう簡単には変わらないことを、こういう小さな場面で思う。

さて、香港からやってきた上海人の同僚が、数ヶ月の日本での仕事の後本来の勤務地香港に戻るので、小粋なイタリア料理の店で、お別れ会を開いた。歓送会がとかく多い出入りが多い組織では、それがもはや日常の風景となる。数ヵ月後には、オーストラリアで勉強・仕事をしていて、今度はシンガポール勤務者として会社に雇われたインドネシア人が、シンガポールに帰ることになる。

誰が今身体的にどこにいるのか、そんなことも取るに足らないことになりつつある。市場があるだけ、世界中にそれに携わるネットワークは無数に存在し、ワタシも、その蜘蛛の巣の上の住人である。蜘蛛人間は、あちこちを綱渡りして、マネーの世界を行脚する。

人気のイタリアンの店は、金曜の夕べを楽しむ大人たちでいっぱいになり、お喋りが音楽にも似つかわぬ雑音として、いやそれでもとても温かい余韻を残しながら、店全体にひろがる。人々は軽やかで、人間関係もまた割合とすんなりとし、こういうのは案外好きである。

そして、店を出て、傘で雨を避けながら歩き出したときに、同僚との会話を思い出す。

「金融に携わる人は、多かれ少なかれ、夢を持っていて、しかしその夢が大きすぎるか実は夢と呼べるほどのかたちになっていないから、結果的に金融にいるのかもね。まあ、結局それ自体もきらいじゃないんだけど」

最近仲良くして頂いている他部門の同僚の談に私はいたく同意した、そんな真冬の夜である。なぜか、雨の日は、晴れの日だったら特段気にしないこういう一つ一つの言葉が、私の中でエコーして、考えさせられるのだ。
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by Haruka_Miki | 2007-02-09 00:00 |
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