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パリ発 五感の穴

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美食的旅

f0079502_16444766.jpg実は台北からとんぼ帰りしたところである。アジアに住む良さは、当然ながら他のアジア諸国が近いことだ。突然地域主義的な発言になってしまうが、どうもアジアの国々を旅すると、変な気疲れがなく、米国で思春期を過ごし、西欧的な趣向や思考が身についていたしても、自分が何だかんだ言って、まぎれもないアジアの民であることに気づかされるものだ。なんとなく似たニュアンスがあり、けれど異なる点も多々あり、その両方がある程度の刺激と心地よさにつながるのかなと思う。

さて、短い滞在は、故宮博物館を訪れたり、お寺を巡ったり、初めての台北は観光スポットを手堅くおさえたものだったが、やはり旅の醍醐味と言えば、その地のものを食べることにある。例に漏れず、私も麺を楽しみ、小龍包に舌鼓んだ。食は各文化の髄であり、「食は食ではなく、それ以上のものである」とちょうど東京に戻る機内で読んだNewsweekの特集記事のキャッチフレーズはまさにその核心を捉えているかもしれない。

f0079502_16451317.jpg台北には、日本のデパートが溢れ、馴染みの牛丼屋や日系のハンバーガーショップ、関西のとんかつ屋チェーンなどが街に点在する。日本食の人気は健在のようである。それはさながら、日本にいて、ニューヨークのドーナツ屋やシアトルのコーヒーショップ、フランスのミッシュラン三ツ星レストランを目にするのと同じような状況であろう。人々の趣向、ニーズは、それがマーケティングに誘導されたものであっても、街を歩くだけで手にとるように分かる。

その地に土着な食を見る時、口にする時、このグローバリゼーションの時代にも、やはりその地の食は深く根付いていることに気づく。東京に居て、様々な文化圏の料理が楽しめる。台湾の料理人が創る台湾料理も食べられる。食は、人間の移動以上の速度で国境をいとも簡単に超える。が、その味、そのエッセンスは、やはりその土着の地でこそ生きるように思えてならない。

美味しさは、日本でも分かる。けれど、美味しさの奥にあるものは、時に旅を実際にしてみないと分からない。その文化圏の人々と空間を共にしないと完全には分からない。食はその食べ物そのものだけでなく、その奥に根付いたものであるなら、美食の旅、というのは軽い旅の仕方ではなく、案外奥深いものなのかもしれない。いつだか社会学の授業で読んだ、辺見庸さんの「もの食う人々」を本棚から引っ張り出してみて、これをまた自分も実践していきたいと思うのだ。
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by Haruka_Miki | 2007-06-23 00:00 |
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