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パリ発 五感の穴

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文通の夢は塵となりにけり

f0079502_23453719.jpg以前会ったヴァイオリニストに、ご馳走になったガス入りのミネラルウォーターのお礼も兼ねて、葉書きを送った。神楽坂の椿屋で買い求めた草木の版画のものである。そのヴァイオリニストからお返事がきた。メトロポリタンオペラの葉書きである。僕もその中にいます、というのでまじまじと見ると、いた!ちょっとお若いがヴァイオリンの席の一番前に座っている人が多分そうだという察しはついた。

私は兼ねてから、この古典的な手紙を認めるという方式を好んでいて、これだけ便利になった世の中でも、どうもその嗜好は変わらない。ただ、電子メールほど楽なものはないし、今などはスカイプを通じて世界のあちこちと瞬時に繋がるので、携帯電話よりもスカイプを使っている時間が間違いなく長い。だからこそ、手紙の価値が上がるというものだと思う。ヴァイオリニストなら、手紙を書いてくれる性質であろうと私は勝手に決め付けた。メールも送らず、とにかく手紙でお礼を言った。

f0079502_23532219.jpgそれに対して、ヴァイオリニストはこうである。あなたって人はメールを使わないのですか?驚くべきことです。手紙がどうこういうわけではないんですが、私は筆不精ですし、ペンパルには不向きですね。こういうのが苦手です。というわけで、次回からぜひ文明の利器に頼ってください、と氏はヴァイオリンを持った似顔絵を添えて葉書きを書いてくれた。これから筆を認めることはないですが、でも今回は絵をおまけしますという感じである。私の住所を書くのも嫌だったらしく、私が書いた葉書きのわたしの住所の部分を切り取って送り返してきている!大胆。

話は逸れるが、芸術家というのは芸術全般でやはり才能が巡っているのだろうか。大変味がある絵で、芸術家なんだなぁと妹と葉書きを見て話した。とかく彼自身にそっくりなのだ。

彼なら風貌で、きっと葉書き派だというロマンはむなしく夢と去った。そういえば、思えば彼はポケットからブラックベリーを携帯していた現代人である。ブラックベリーやメールで話せばいいでしょう。それが一番スマートだ、と彼に言われそうであるから、もはやどちらが現代人なのか訳が分からぬ状況だ。とはいえ、彼のような人には、やはりどうもメールを送るのがピンとこない。交流を続けるのであれば、嫌がられながらも、手紙を書き続けることになりそうな予感である。
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by Haruka_Miki | 2007-08-21 00:00 |
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