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パリ発 五感の穴

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ジンバブエ報告会

昨日、ジンバブエ出身の同僚とランチをした。氏おすすめの店でハヤシライスを頼んだ。いつもであれば、他愛もない話、最近読んだ本や、氏のご家族の話などをする。微笑ましさ満点である。昨日は、氏が夏休みに五年ぶりに祖国ジンバブエに一時帰国したばかりだったので、ランチはジンバブエ報告会となった。

ジンバブエといえば、昔はローデシア共和国と呼ばれ、イランや北朝鮮と並んで経済制裁を受ける国であり、かなりのインフレに悩まされ、独裁者ムガベというイメージがどうも強く、それ以上のことはよく分からないというのが本音である。

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(Jaipur, India, 2007)

氏のジンバブエ報告によると、インフレはかなり深刻な状況で、ジンバブエ国内の人々も一家族に一人は、海外送金ができる家族が国外にいるととりあえず一安心なのだという。インフレを止めようと、政府が物の値段を固定するのだが、その固定値が甚だ見当違いなため、闇のマーケットでの取引は当然だと言う。例えば、ガソリンスタンドに行っても、ガソリンはないよと言われるが、実は裏庭にまわればガソリンはちゃーんとあって、さぁいくらで買う?という交渉が始まるのだそうだ。

そんな状況で「独裁者」(と敢えて言ってみる)に対する国民の不満はないのかと言うと、多くの人々は彼の政治に飽きているけれど、だからといって反乱までは起こさない。つまり、どうもメディアを通じて聞くような状況はもちろん存在するのだが、国内の人々はそれなりに平和に穏やかに暮らしていて、その平和と引き換えに、反乱を起こすということは、すなわち戦争であり、国民の多くは、それまでの血なまぐさい歴史に辟易していて、皆今の生活に終始したいらしい。

その国の人にならなければ、私などの余所者が意見することができることでもないのだが、とりあえず、ここで思い出すのは、ところ変わって米国、共和党から大統領に立候補しようとしているRon Paulの意見である。Ron PaulはいわゆるLibertarianで、ラジオで聞いたイラクに関する彼の発言が興味深く、印象に残った。彼はイラク派兵反対だとか賛成だとかではなく、イラクで何故アメリカ兵が攻撃を受けるのかについて次のようなことを言っていた。テロリストが何かを企んでいるとか、宗教の戦争だとか、文明の衝突だとかではなく、これは単純に母国によそ者が来たことに対する警戒と、ただよそ者に出て行って欲しいという切なる願い、単純だがそれが根本である、と話していた。

ジンバブエの内政については何も知らないのだけれど、多分Ron Paulの考え方が実際のところ一般市民に多い感情なのじゃないかと思うのだ。少なくとも、私だったらそうである。理念や教義がうんぬんでもなくて、単純に平和な生活を送りたいとささやかに願っているのが実のところかもしれない。

民主主義とは何かとか、民主主義に到達するまではどのような手段をとってもいいのかとか、そういうことを考えていた学生時代に、それを議論することは楽しかった。けれど、現実社会では、イデオロギーはイデオロギーだったりするのだ。イデオロギーは物事の考察に一役をかう反面、物事を必要以上に複雑化しているような気もして、ハヤシライスのジンバブエ報告会はそのことを考える有り難いランチであった。
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by Haruka_Miki | 2007-08-29 00:00 |
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