秋だなあと思う瞬間が多い。それは青く澄んだ高い空であったり、清かな風を受けてだったり、個人的には、パンプキンケーキが大好きな同僚のKさんが、ケーキ屋の片っ端から電話をかけてパンプキンケーキを予約し出すという年中行事にもある。まそれと同じ位四季を敏感に感じさせるのは、お茶のお点前かなと思う。
仕事の合間に茶道の先生のところに行っている。秋が深まり、お茶のお点前も随分様変わりしてきた。十月、つまり神無月の茶趣は中置き、だ。お茶では、風炉か炉(お湯を湧かす釜)を使うが、今まで勝手付(壁側)に常据していた風炉が、少しずつ畳の中央に近くなり、お客さんに火を近づける。夏であれば、風炉の右側に水指を置くけれど、中置では風炉の左側に、細長い水指を置く。初夏からずっと使ってきた風炉が来月からは炉になる。その別れを惜しむ心情から、名残の茶とも言われるのだそうだ。
私がお茶を始めたきっかけは、岡倉覚三の「
茶の本」である。忙しさに感けてお茶もご無沙汰になっていたから、明日は、ちょっと頑張って自転車で
東京藝大美術館の岡倉天心展に出かけよう。