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パリ発 五感の穴

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雪沼行きの電車

先輩のKさんは、考え事をするときや本をしっかり読みたい時は、山手線に乗って一周するらしい。私は電車に乗るや否やうとうとしてしまう性質なため、考え事をすることもいつもではなく、本当は本も何も必要ない。小銭だけ持っていれば事は足りる。でも、読み物を持たない手持ちぶたさ恐怖症(夜景恐怖症以外にもあった!)なので、本は必ずやポケットに入れている。

横浜方面に行くので電車に乗る機会があった。同じ風景もつまらないので、行きは小田急線→相鉄線、帰りは相鉄線→東横線という私鉄サークルをまわることにした。行きは完全に夢の世界だったのだが、帰りはさっぱり眠くならないため、本を広げることにした。

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(December 2004, Prague)

雪沼とその周辺」を読んでいる。雪沼という架空の町の人々の生活をこっそり覗くような作品で、電車でいつもと違う町に行く時には的を得た本だと思う。穏やかで美しくて、読み手が映写版を想像できるタイプの小説だ。なんとなく、いや若者のざわざわした胸の内の葛藤とか騒々しさをちょっぴり加えたら、ベルギー映画の「ある子供」のイメージと重なるところがある。

私も以前、都市からある意味で隔絶され、その中で人々が淡々と生活をする土地に身を置いたことがあるので、なんとなく雪沼の町の人々とその息遣いという点で共感をするところもある。もちろん、現実世界の場合は、小説の世界ほど美しさばかりではなく、それぞれが静かに、それなりに様々な欲や葛藤も抱えながら生きている気はする。

本に集中したい時は電車に乗れ、の一言がなんとなく分かったかなぁと思う。小説を読む時、読み手はその瞬間小説の世界に旅をするわけで、電車という移動空間では、その意味合いも増すってもんだ。あれぇ、話しは飛びますが、王家衛の「2046」の電車のシーンも多少そういうことなのかしら。
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by Haruka_Miki | 2007-12-01 00:00 |
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