ブログトップ

パリ発 五感の穴

fivesense.exblog.jp

デトロイト郊外のすすめ

デトロイトに来ました。

米系N社は様々な良し悪しを持ち合わせていますが、デトロイトにご旅行の際はぜひN社を。N社の飛行機でアメリカに飛ぶということは、すなわち成田にいる時から既にアメリカな雰囲気を多分に感じながらの旅になることは請け合いです。

しかし、今回は特にすごかった。復活祭の休みが近いからか、飛行機は満席で、日本人はほとんどいません。圧倒的な米国人(もしくはパスポートを見るにカナダ人)シェアです。スーツケースはたいがい持ち込む私ですが、フライトアテンダントのおばちゃまには、「このフライトは満席だから、スーツケースは縦に置いてね。じゃないと皆の荷物が納まりきらないんだから」と乗り込んだ直後に注意を受ける始末。一国のウェルカムトゥジャパン政策はある意味で功を奏しているのかと思いきや、実はその多くは中国からのトランジットのお客らしく、北京やら上海やらのTシャツを着ています。

さて、デトロイトは、アメリカ全土同様、いやそれとはまた別次元で経済的に停滞しているとも言われています。会計士や弁護士や公共サービスなど、それなりに千差万別な職業に就いた人がいますが、そうはいってもMotown。デトロイトのダウンタウンにはGMなどの本社機能がデトロイト周辺の町から最近移り、数年前には、アメリカ人のスポーツの祭典、アメフトのSuperballがこの地で行われるなど、ダウンタウンは昔とは比べ物にならないほど綺麗に生まれ変わりました。が、この地を長年潤してきた自動車産業にも陰りがあり、今では全米でも有数の高級住宅街があるデトロイト郊外も、なかなか家を売りたくても売り手がいないという難しい状況に。そうかと思えば、近くのショッピングモールは高級志向に変わってきているようで、高級ブランドの靴や洋服が並びます。デトロイト=経済の停滞の縮図、とばかりも言えないところが、この地の面白さです。

帰国子女としての自身を創ったのは、間違いなくこのデトロイト郊外であり、その礎の上に今の私があります。アメリカのミッドウェストに住まうことに、一定の反発や苦悩があったのもまた事実ですが、実はこのミッドウェストという地が、とても米国社会を理解するのに興味深い場所であることを、最近は実感しています。そこは、人種的・所得的な住み分けがとても進んだ土地であり、ある程度都会であるけれども郊外であり、ニューヨークともカリフォルニアとも南部とも違ったニュアンスを持ち合わせた地です。デトロイトテクノに、エミネム、マドンナ、そしてフランシス・コッポラにマイケル・ムーア。みんなこの地の生まれです。

繁栄と湖や林に囲まれた素敵な暮らしが若者たちの希望と鬱憤と合わさり、デトロイト郊外に住む意味合いの厚みを増しています。

色々申し上げましたが、そんな人間の事情をさほど気にしないかのように、朝は隣の池で泳ぐ鴈の親子の鳴き声で目を覚まし、夜の静けさを打ち消すように遠くから聞こえる貨物列車の汽笛の音を耳に眠りにつくことが、実はデトロイト郊外で一番乙なところかもしれません。
[PR]
by Haruka_Miki | 2008-03-18 00:00 |
<< 一杯$1.38のコーヒーで3時... バースデー三年分 >>