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パリ発 五感の穴

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花のこと

花がなぜ咲くのかの「なぜ」を問うのは、人間特有なものであるかもしれぬし、
その花の美しさを永遠に保ちたいという欲もまた、人間特有なものかもしれない。
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(メトロポリタン博物館の入り口には季節毎に素敵な花が生けられています。)

一番好きなジュエリーは何かと問われれば、私の場合、それは間違いなく
生花のコサージュである。おめかしの服に合わせた色の花で腕につけるコサージュを
作ってもらったことが一度ある。あれは、花の限りある美しさを身に着けるという
ところが、どんな高価なジュエリーにもない輝きを放っていると思う。

さて、房総半島の先に住む叔母は、さすがその土地の人で、花の扱いに慣れていて、
特にお洒落な花屋さんで高価な花を買うことはなく、近くの農家から両手ほどの
薔薇を抱えて買ってきてはしばらく生花を楽しんで、そろそろという時期になれば、
家のちょうど頃合いの場所にその花束を括りつけておく。

そうすると、ログハウスの程よい湿気がそうさせるのか、暖炉の温かみがそうさせるのか、
叔母の長年の経験がそうさせるのか分からないが、それは素敵なドライフラワーが
出来上がる。

花の美しさは、そういう生の移ろいにあり、何となく人間という生き物にも共通項があり、
シンボリックなものだなといつも思う。水をあげすぎてもいけない、根腐りしてしまうから。
根腐りをすると水が澱む。それを防ぐために、なんだかちょっとかわいそうだけれど、
根元を焼いてやると長持ちする。

三月に頂いた薔薇の花束が、今はドライフラワーとして我が家に彩りを添えている。
叔母ほどのノウハウも、ログハウスや暖炉の恵みもないけれど、この家なりの
ドライフラワーができあがった。

生花は有限という名の美しさを最大限に謳歌していてはっとする。
同時に、ドライフラワーのしわ具合は、人と一緒で、環境や経験で随分と違って、
それもまた生花とは異なる次元での深みと美しさを持っているのだ。
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by Haruka_Miki | 2008-05-03 00:00 | 五感
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