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パリ発 五感の穴

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トップダウン・ボトムアップ

旅のことやら趣味の話は大好きで、話題がつきないのですが、たまには仕事について語ってみようと思います。
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(といいつつブエノス・アイレスのボカ地区の風景)

現在私は、幸運なことになかなか興味深い仕事生活を送っています。仕事の中身というサブスタンス的なところでは、組織の存在意義・ミッションは千差万別なので、前職も現職もそれぞれの面白み、うま味があるのですが、実はサブスタンスな部分と同様に、私が興味津々なのは、構造的なところでの違いに関する発見の数々でしょうか。「組織」なので、結論として言えることは、集団にはいずれの場合にも歴然としたヒエラルキーが存在します。それだけでなく、その順番や経過、具体的に、組織の意思決定プロセスにはかなりの組織色が出ることが、対照化する二つの組織で働いて分かってきました。現職と前職は、世間的には真逆と思われる組織ですが、ピンで動く「人」ベースで見れば、多少の傾向の差はあるにせよ、基本的にそれは組織形態の差程は変わらない気もします。

学生時代、新卒採用のプロセスでのことです。前職の最終面接で一つの質問を投げかけたのを思い出しました。「こちらの組織での意思決定はボトムアップですが、トップダウンですか」と。今考えたら、唐突な質問にも思えますが、実はこれは組織人として働く際のかなりコアな投げかけだと思っていたりします。ちなみに、その時の回答は、間を入れず「トップダウン」でした。

実は、学生時代に私は今以上に、トップダウンという言葉にかなりのアレルギー反応があり、ボトムアップ信者(?)でありました。下の声を吸い上げる組織に、透明さなりフラットさなりクリーンさというイメージを抱き、反対にトップダウンという言葉には、権力的なものを感じ、そのイメージに対して自然と拒否反応を示したからだと思います。

ですが、もちろん全ての戦略の良し悪しは裏表です。実際「トップダウン」と称された前職は、コアバリューであるWhatの部分の決定は完全にトップダウンで、それ以外の、いかにその決定事項を成し遂げるか、のHowの部分は、実際の働き手達の手に委ねられる部分が多かったように思います。この結果、大枠の基本的枠組みがマネージャーにより決められている反面、Howのところには遊び心や創造性が求められ、そこに組織人としては付加価値を見出していたように思います。何をやっても、進むべき方向は決定しているので、効率的で、それなりに小回りが利く働き方だったように思います。他方、Whatの部分を一つ一つ作り上げるというよりは、全体的なコスモを見据えながらの作業なので、ミクロをこつこつ積み上げていく人には空を掴む仕事プロセスにもなり得ます。私は将棋も指しませんし、囲碁もしませんが、おそらくそうした勝負師が綿密な運び以前に宇宙的なものを考慮する、それに似ている気もします。(そういや、いつか羽生名人もそんな発言をしていたんですもの。)

対する現職は、世間的にはザ・トップダウンだと思われており、実際この上ないヒエラルキーの様相を呈しているのですが、実はそれは肩書きがものすごく重々しかったりの結果であり、前職とヒエラルキーという観点でそこまで違うのかと言えば、結局は「組織」という同じ星の元に在ります。現職の組織は、私にしてみればとてもボトムアップな組織だと思っています。まず、一つの問題に対し、一番下の人が対応し、その対応ぶりを次々に組織の上席に上げていき、修正が必要な場合はそのプロセスで行い、ということになります。当然ながら、前職のようにマクロな意思決定は、トップの議論によって決められるのですが、その後のプロセスがまた大変ボトムアップなわけです。こつこつ一つずつの仕事を積み上げる→それを上に挙げていく、というところが、もしざっくり言って、意思決定自体は結局トップがする、という点で前者と同じであっても、一つの仕事がなされる時間を大幅に増やします。当然、こつこつやれば、その上にできた結論はゆるぎないものなのですが、とかく非効率であります。

こうしたサブスタンス的な話を一切考慮しないとすると、やはり個人的に一番動きやすい意思決定プロセスは、基本ヒエラルキーの中ではトップが意思決定をするが、決定された後の具体的な立ち振る舞いは個々人の裁量の自由が与えられる、でしょうか。この自由、というのは厄介で、逆にノウハウの共有などがしずらいデメリットもあるとは思いますが、スピードを活かし、個人のモチベーションを上げるにはいいのかと。

小娘、何を言う、という話かもしれません。組織の意思決定方法が、組織のミッションと密接な関係を持つことも言えるでしょう。ミッションが経済型(金銭的利益追求型)でなくなればなるほど、つまり政治型になればなるほど、このトップの意思決定は難解を極めたりするのだと思われます。

が。やはり、一組織が動かしうるより大きな存在―それがまぁ国、とかグローバルな共同体、とかだったりするのでしょうが―があるのであれば、相当強いトップダウン的な意思決定と、それを決定するための「意思」がとても重要なのではないでしょうかね。

仕事が何であれ、ミッションを最大化して、一番最善な方法を考える時、仕事内容だけでなく、それ以外のロジック的側面の重要性を切に感じる日々であります。
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by Haruka_Miki | 2008-05-15 00:00 | 経済的営み
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