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パリ発 五感の穴

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奈良・文化財保護、オールニードイズラブアンドマネー

こんなに沢山の世界遺産登録記念碑を一同に介して見る機会はなかなかないかもしれない。

1993年12月日本ではじめて登録された「法隆寺地域の仏教建造物(法隆寺、法起寺)」、1998年12月に登録された「古都奈良の文化財(東大寺、興福寺、春日大社、春日山原始林、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平城宮跡)」、2004年7月に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」と数多くの世界遺産が点在し、世界遺産以外にも数々の国宝や重要文化財がそこここに散らばる。奈良・文化財保護、オールニードイズラブアンドマネー_f0079502_2013171.jpg

これほどまでに多数の文化的なものに溢れ、国内外から沢山の観光客を惹きつける。修学旅行の学生も、外国人のツアー客も、へんてこなバックパッカー(あたくし)も、年配のグループの方も、老若男女、その場に来る。

さて、一つ一つの場所を拝観するには入場料を払う。それ以外にも、瓦一枚何円なり募金求む、との看板が掲げられ、文化財保護のお願いがあちこちに書かれている。そう、どんなに芸術が好きでも、歴史を大切にしようとしても、文化を保護するという行為はとかく「お金」がかかる。現実問題として、世界遺産登録をしてほしいとひっきりなしにキャンペーンすることのも一苦労、世界遺産されたところで、お金はもちろん空から、国際機関(UNESCO)からふってくるわけでもない。

唐招提寺が9年がかりで金殿の改修を行っている。境内で関係者らしき方を見つけては、質問攻めの私。改修の財政面はどのようになっているのですか?との問いに、半分は文化庁(国)から出してもらうけれど、半分はお寺自身、奈良市、奈良県が持つとのこと。それで賄えない分は喜捨に頼っているとのこと。もちろん、UNESCOから支援を受けているわけでありません、ときっぱり。

保護したい、文化を大切にしたいという想いの裏に、「お金」という現実問題がのしかかる。ちょうど新聞を読んでいたら、朝日新聞の奈良に関する地方面(25日朝刊24ページ)に、「藤原宮跡(特別史跡)」の管理にめぐる記事があった。藤原宮跡は、1300年前の日本最初の都城跡で昨年までは奈良文化財研究所が、国から研究所の運営費をもらって保護していたが、交付金の削減に伴い、文化庁が直接管理。だが、文化庁だけでは目が届きにいため、地元の橿原市は、文化庁から管理の委譲を打診されているとのこと。問題は、誰がお金を出すのかということにもなってくるようだ。

保護しなくちゃ。大切なのは分かっている。が、芸術は、文化はお金がかかる。文化政策のジレンマというか根本は、とどのつまりマネーに絡んできているのかもしれない。
by Haruka_Miki | 2006-06-26 00:00 | Nippon
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