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パリ発 五感の穴

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エストニア姫と愛陀姫を観る

ニューヨーク在住の姫が遊びにきています。リュックサックにビーチサンダルにカーゴパンツに大きなサングラスという井出達で現れた友は、「うふふ、みんなこの国の人は親切だし、きちんとしてて、私の格好はひんしゅくだわ」と笑っています。

私の中で、東京は、世界の真ん中と言っても過言ではなく、アジアにも近いし、ヨーロッパとアメリカ東海岸はちょっと遠いけれど、いいロケーションだよね、島国だけどさ、何となく独自のスタンスでさ、と思っているわけですが、これは世界の人々の総意ではありません。日本という国は、とてつもなく魅力的で、慎ましくも香り立つ不思議な国というイメージが多いようで、それは例えば日本びいきの、もしくはアジア通の人々以外には、まだまだ相当のイメージを掻き立てる場所のようです。

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ですので、初来日を果たした友の反応といえば、ああ、何てコスモポリタンで、しかしなんと静寂に満ちていて、ネオンでさえどこか日本的で、街が綺麗なんであろう、人々が慎ましいのであろう、という驚きのようで、ニューヨークのタイムズスクエアが持てはやされる理由が今になっては分からないということらしい。

旅人の目線というのは、地元民の目線とだいぶ違って、彼女が写す東京は、彼女に映る東京であります。特に姫のお気に召したのは、夜の提灯の明かりと、店員さんの態度。そしてそれを横目に、どうして私の友達(つまりあたくし)はこんなに鼻っぱしが強いんだろう、と不思議そうですが。

上野で私の友人に時間を作ってもらい、彼のアトリエを観て大喜びの彼女。やっぱり、観光客として括られてしまうの、いやだよね。とはいえ、最後はやっぱり歌舞伎座は行っておかないとね。ちょうど、ヴェルディのアイーダを題材にした、野田秀樹演出の愛陀姫の幕見をやっていて、私も見たかったので二人鑑賞。歌舞伎はお能や浄瑠璃と違って、お弁当でも食べながらがやがや観るのが楽しいよね。本当は、寄席といきたいものですが、なかなかその方面は難しいので、またにしましょう。

早起きしたら、家の近くの神社からお囃子の稽古の音が聞こえます。太鼓のリズムに笛の音色、姫は、これは何の音!と大興奮ですが、日本の祭りに触れられるのは、暑い夏を選んだ夏の旅行者の特権でしょう。エストニア姫は、これから意気揚々いざ東海道の旅へ。大丈夫、ありがとうとおおきにが言えれば、きっと姫が感動した、静寂さと素敵なおもてなしで旅も彩られるはずです。いってらっしゃい!
by Haruka_Miki | 2008-08-11 00:00 | Nippon
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