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パリ発 五感の穴

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ワイン始め

ご無沙汰してます。こちらも、段々本格的な冬空になってきました。こういう時はカレーだよね(なぜだ?)、とこちらに来て初めてカレーを大量に作りました。牛肉の代わりに、ラムをいれてみたのですが、これも結構いけます。冬だからあれが食べたいね、の代表選手は鍋かと思いますので、私も近々鍋をしようと企てつつ、現状は2.85€の学食、早く帰宅できるのであれば我が家で簡単な料理、あとは愛想がないけれど学校に近くて美味しいフォーの店、ケバブを行ったり来たりと言うかんじでしょうか。

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この国の人にも、冬といえばあれだよね、という料理が色々とあるようですが、先日はクラスメートの誕生日でRacletteという料理を食べました。上のようなホットプレートに、ハムなど肉類をのせ、その上にRaclette用チーズものせチーズが溶けるのを待つだけといういたって簡単なものです。チーズフォンドュよりもお手軽ではないでしょうか。誕生日を迎える人がパーティ開催者というのは割とこちらで多いパターンかと思うのですが(この辺で何となくシンパシーを感じたり)、彼の指示でSavoieのワインと持ってきてね、ということでしたので、指示通り調達。美味でした。前菜からきちっきちっと出てくるだけがフランス料理じゃない、やっぱり冬は皆で仲良くホットプレートを囲まなくちゃね、と妙に嬉しくなったのでした。

さて、クラスメートの指示にもあるとおり、やはりこの国では料理と同様のウェイトでワインが相当重要な位置を占めていることはもはや疑う余地がありません。私は本来はワインなるものが、お洒落すぎで近づきがたく、意地悪な言い方をすればすかした飲み物だとさえ思っていたのですが、これがへそまがりな思い込みであることを最近よく理解してきました。そして、ワインを分からずして、フランスは語れないという、一種ありきたりな結論にさえ到達しました。また、料理と共鳴しあうものだということが今更ながら分かりました。

この完全なる移り変わりは、ワインの飲み方を変え、ワインを知ろうという意欲が芽生えてきたことに起因すると思うのですが、ワイン好きの友人の影響も大きいですし、また学校でワインクラブなるものに入ったことも大きいかと思います。ワインクラブでは、頻繁に様々な地方からDomaineのオーナーや地方のワイン協会の人などがプレゼンテーションを行ってくれ、テイスティングをすることが可能です。このクラブに入って、いかにワインが香りや色が大切かを最近少しずつ理解するようになりました。以前だと、グラスを回すこともなく(これもすかした飲み物の一つの理由だったので)、ファンタオレンジを飲むかのように豪快に飲んでいたわけです。今は、ワインを味わう以上に、香りが楽しくて、なんて奥が深い世界なのだろうと遅ればせながら感じています。嗅覚というのは、やはり一番深い記憶を呼び起こすものです。香りが不思議なのは、ワインは、ワイン以外の香りしかしないというところです。言葉遊びですので、何と形容したらよいかなと考え、言葉を記すことも楽しみの一つです。香道みたいだな。

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(こんな感じです)

ワインクラブ以外に、11月はいくつかワイン関係のイベントが目白押しであります。先週はGrand Tastingというイベント(フランスで一番有名なワイン本のおじさんたちのよるものです)、今週はSalon des vins des vignerons independantsというイベントがあります。前者はより大きな会社によるもの、後者はインディペンデント農家による出店です。

先週のイベントで、二つほどとても美味なワインに出会ったので記しておこうと思います。
1.JURA地方のワイン:Chateau d'Arlay
これはとても特徴的で、かなり美味でした。生産方法がシェリー酒に似ているんだそうです。私はシェリーやポルトといったお酒がとても好きなので、その辺も絡んでいます。また、生産者のご夫婦がこれまた相当ナイスなのでおすすめです。
2.GAYAのLa Turque: ほどんどのテイスティングは入場料でカバーされるのですが、こちらのはある特別講座に申し込んだ場合のみテイスティングができます。大変高価なワインで、通常だったら私は間違いなくお目にかからないため、武士たるもの潔くテイスティングに参加すべし。特別テイスティングに参加すると、ワイン本のおじさんたちが熱く語ってくれるので、それをなんとなく聞きつつ、楽しもうという感じです。

時間があるか懐疑的なのですが、こちらにいるうちに、ワインと料理の関係をより知って、豊かに暮らしたいと思ったのでした。今はなんでも理由をつけて、とりあえず精神的豊かさに勤しむとします。もちろん、世界情勢にもアンテナを張っていくつもりですが、何分ローカルな楽しみが大好きな身でして。皆さんもおすすめのワインや料理があったらどうぞご教示下さい。
by Haruka_Miki | 2008-11-28 00:00 | 五感
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