ブログトップ

パリ発 五感の穴

fivesense.exblog.jp

<   2009年 03月 ( 6 )   > この月の画像一覧

本と酢

最近地下鉄に乗る際の本は、幸田文の「流れる」です。日本語のはらりとしたちょうどよい重さがなんとも朝の眠たい時間帯にしっくりくるのと、女の家を女中さんの視点で考察しているのがたいそう興味深く、乱暴に走る地下鉄でおっとっとをしながら読んでいるのですが、目的地まではわずか七駅、すぐに着いてしまいます。なので、ちっとも読み進まないのだけネックです。

f0079502_18213613.jpg
私はこれまで幸田文の本を読んだことがなくて、これを機に他の作品、また同時期の他の女流作家の作品もぜひ読んでみたいなと思ったところです。装丁の縞模様がまた、粋な感じでいいのです。セント・ジェームスのボーダーシャツの国フランスとはこの辺が違うに違いない。

さて、私のルームメートはかなりの本の虫なのですが、こういう本の話で盛り上がれたらいいのにとたまに思うと残念でなりません。場合によっては、西洋の本を私がたまたま読んでいて盛り上がることもあるのですが、基本日本の作家の本というのは、土地柄によって好んで読まれている作品と出回っていない作品があるようです。フランスだと、三島由紀夫は断然人気、それから映画でも黒澤明、北野武、小津安二郎だとか。

話は変わって。最近、東京時代に母がよく作っていたフルーツ酢作りを再開しました。りんご酢など好みのお酢に好みの果物、生姜、蜂蜜を入れてソーダ水で割って頂きます。冷え性解消に一役買っているようです。そこで謎なのが、ヨーロッパには果たして黒酢や黒糖があるのかということです。和三盆や黒糖が大好きなのですが、あまり見かけないのと、フランス人の友人に説明してもちょっと分からそうな顔だったので、入手できないとなると欲しいなぁと思うところです。
[PR]
by Haruka_Miki | 2009-03-27 00:00 |

ブリュッセル

ロンドンの姉妹校と共同Public Policy Internship Fairなるものがあって、ブリュッセルに行ってきました。パリからは電車で1時間少々で到着します。旅のお供のi pod shuffleを紛失してしまったので、無音の小旅行です。結論から言うと、私のような一度仕事をした人よりは、学部生を対象にしたものなので冷やかし半分であったのですが、東京ではなかなか見られないJob Market模様が見られて興味深かったです。

f0079502_18464472.jpg
そもそもブリュッセルに本部ないし支部を置く機関ということで、EC, European Parlament, 戦略系コミュニケーションの会社(て何だろうという感じですが、平たく言ってLobbyingなどのコンサルティング・手助け)、小さめのシンクタンクなどの参加が多く見られました。私の場合日本人なので、そもそもEUの公共政策・ロビー活動でどういうインパクトを与え得るのか、もしくは与えたいのかは未知数ですし、そもそもヨーロッパ市民に比べると自身の関心も雇う側の興味も少ないのです。が、結局ロビー活動も政策決定も、EU、それ以外の国や団体が与えるインパクトがそれなりに存在するわけでその辺を感じることができたのは、学校に行ってOdéon界隈を闊歩しているだけでは分からないことかと思われます。特にパリの場合は、ディオスポラの問題を多分に含みつつも、ぱっと見はブリュッセル的・ジュネーヴ的な「インターナショナルさ」、もしくはニューヨーク的・ロンドン的な「マルチカルチャルさ」は少ない都市だと思うのです。

昨夜いくつかの団体の話を聞き、やはりここでも日本でいうシンクタンク、ロビー活動(というのがそもそもあるのかは疑問)というのと、大陸ヨーロッパで言うそれがもはや全く異なるものなのではと強く思いました。興味深いのは、EUという存在が大きくなればなるほど、国の影響力が少なくなるのでは必ずしもなく、どちらかといえば、EUが大きくなればなるほど、規制が強くなればなるほど、国の力も大きくなり、その複雑性はいまだかつてないほど高まるのではという空気です。だからこそ、ロビー活動ができるニッチが多くなるし、シンクタンクは声高にThink and do tankと言ってはばからない。

それにしても。今のジョブマーケットはやはりなかなか競争が激化していそうなことを今回肌で感じて、その点も一つ新鮮でした。最後に、EUが一つのlegislationを可決するのには約2年の年月がかかるということですが、それにしても27カ国が一つのConsensusでなくても折衷案を出すというのはとてつもないことと改めて思うのでした。
[PR]
by Haruka_Miki | 2009-03-20 00:00 |

鳩は首を動かさず歩けない

どんなタイトルかという感じですが、ここのところ思うようにブログを書けていないので、最近起こったこと、最近考えたことなどを、書いてみるとします。とりとめもなくすみません。

f0079502_6214334.jpg
・年齢

土曜日に一つ年を重ねました。たいそう素敵な言葉やものの贈りものを頂き、誕生日って嬉しいなあと、ただただ顔をほころばせてありがたさで胸がいっぱいになるのでした。私は今までの人生のところ、頂き部分と差し上げる部分がちっともバランスしていないのですが、経験知としていつかどなたかに差し上げる部分になるといいな、そのように将来に蓄積されればいいのですが。

・環境

さて、連日の天気の良さに、そろそろどうしても自転車を走らせたいという気持ちが抑えきれなくなり、今日は学校まで自転車に乗りました。ルームメートと朝からアパート住民の共同納戸に向かい、一年は動かしていなかったという小さい方の自転車を二人で地上まで上げます。納戸の鍵が錆びていてうまく開かない、そんな時に昨年父が渡仏した際に日曜大工してくれた余りの潤滑油が役に立つというものです。いつもは下水の匂いがする歴史を感じるメトロに揺られるのですけれど、自転車もよいです。そういう季節になりました。しかし、高級な自転車の利用はご法度です。できるだけオンボロであればそれだけ盗まれる可能性も低めとのことで、我が自転車は、大きく油性ペンで150F(ルームメートがフラン時代に蚤の市で購入したと思われる)と書いてあるオンボロめの愛車です。

・最近の癖

諸事情への期待度が下がってきました。どういうことかといえば、例えば今住まう国であれば、どうしたら諸サービスがお役所作業でなくなるのかというのが、滞在数ヶ月目までの目下の懸念点でありました。(例えば、9月にお金を支払っている健康保険なのだけれど、会員証が遅いので電話をしてみたら、あなたの名前見つかりませんと言われたり、銀行から学生で免除になるはずの手数料が天引きされ続けていたり、学校で返したはずの本が二か月延滞の表示だったり、など。)はて、と最初はびっくりしたり、今でも引き続き多少困るところもあるのですけれど、いちいち目くじらをたてるのもいい場合もあることがようやく分かってきました。元来の性分として、ぴっちりしたいところとどうでもいいところが同居しているのですが、ありがたいことに周りにもっと大人な友人も多く、彼らに学ぶところが多いというものです。

・La famme et l'hommeばかりとは限らない

私の大好きな友人の名言で、「日本はたいがいレズカルチャー」というのがあるんですが、(名言が出た背景:私と友人は異性の友達なわけですが、なぜか会う時によくありがちなコースが、休日にアフタヌーンティーでしばし談議→タイないしベトナム料理ないしインド料理というコース。このアフタヌーンティーといえば、もう女子のメッカ。いつも二人して全く雰囲気に合っていないとある種恐縮・恐怖を抱きつつお茶をしたもんです)、では、パリでみんながJe t'aimeと毎秒愛をささやき合っているのかと言えば、そういう場合もあるでしょうし、いやしかしそうとも限らず、割と同性の友達で語る会というのも多いのではという発見です。ここにきて仲良くさせて頂いている方との一致した意見です。男も男とがんがん語る、女も女と当然語る、それはたぶん各人のアムールとの時間とはまた違う楽しさなわけですものね。
[PR]
by Haruka_Miki | 2009-03-18 00:00 |

利き茶

社会運動のクラスの勉強で、Squattingと、よりピースフルな草の根運動についての調べ物をしていたら、同じ目線どころか抹茶を頂きたくなりました。水差しもお釜もないので、Tefalから直接お湯を注いてでいますが。こういうのを、BOBOと言うのか。自分も同じ穴の狢でしょうか。

最近は、朝の一杯以外は、断然コーヒーよりお茶の出番が多いです。玄米茶、玄米抹茶、ほうじ茶、煎茶、麦茶と各種日本から持ってきており、ルイボスティやミントティー、Kusmiティ、Infusion各種など沢山で、学校には毎日水筒を持って行っています。

しかし、抹茶だけは水筒には入れられんのですよ。やっぱりお茶は美味しいです。さて、そんな午後のお茶にもう一つあったらいいもの、それは落語のCDです!こないだ東京で落語聞いてきました。そしたら隣に結構有名な俳優さんがいらっしゃって、とても雰囲気がありました。今はかなりのお年のようなのですけど。ちょうど節分の日だったので豆まきを最後にしたのですが、その時その方は勇んで前の方に行ってお豆もらってました。品があって茶目っけたっぷりでした。ああいう雰囲気は、お茶だけすすってごろごろしていても一朝一夕には身につかないのだろうなぁ。
f0079502_223912.jpg

[PR]
by Haruka_Miki | 2009-03-18 00:00 | 五感

散歩道

春空のパリ。この街に住まう醍醐実といえば、暗い冬を通り抜けた後の爽やかな季節なのではと勝手に思っています。我が部屋は最上階のメザニン部分に位置しているので、雨の音、小鳥のさえずりなどが聞こえやすい作りです。部屋にいて、コーヒーなぞを飲みつつ、子供の遊んでいる声でふと我にかえるとき、どこか既視(聴?)感があります。文化圏は違えど、それは、そう昔ではない過去に、私が子供側であって、家にいる大人たちが聞いた私たち子供の奇声とそう違わないのだと思うのです。

f0079502_16112691.jpg
なお、暗い冬空も、暖炉などがあれば(私、暖炉の側でホットワイン飲みつつ本を読むとか編み物するとか←できませんが、そういう生活素敵だなと思います)いいのですが、そうポジティブに考えると薄暗い冬も悪くないのであります。

二月の終わりから新学期が始まりました。今学期は、マクロ・ミクロ・統計学などを勉強しつつ、インドや中国などの新興国のケースを用いたPubic FinanceとProject managementのクラス、NGO、ロビイスト、デモなどの草の根活動の発展を理論的に噛み砕いたクラス(ちょっとこの国ぽいのです)、それか国のDecentralizationと規制のクラスなどを中心に勉強しています。自身としては引き続き、途上国のまちづくりと、パリの都市計画に関心があるので、本などで補足しつつという感じです。

先日、大学の友人とインターネット上で話す機会がありました。彼は外資系金融→現在戦略系コンサルティングで働く、いわゆる「エリート」、そして若き希望溢れる青年ですが、全く持ってなるほど、類は友を呼ぶという言葉が合った仲間の一人だと思います。興味深かったのが、いわゆる成功の道を突き進んでいるかのように見える友人自身は、常に自身の進んでいる道にある程度の満足をしつつ、常にはたしてこれは自分が本当にしたいことなのかという疑問を抱いていることです。彼が本当にしたいこと、それはまだ漠然としているのでしょうが、私がちょっぴり聞いたところでは、それは海が大好きな人間として、海に近い生活をしつつ、オーガニックの農業をすることだったりするみたいです。

もう一人。愛すべき先輩はアメリカのCPAも取得してとても努力家の人ですが、彼女もこれは何か違うと思うところがあったようで、今は監査法人を退職し、ヨガのインストラクター免許を取得しつつ、現在は社会的イニシアチブを支援するこじんまりとした会社で働いています。

そして今住まう地にもまた、人生を考える友がいて、ずっと描いてきた移民と人権関係の仕事、しかし勉強をしてみると実はこれは本当に自分が一生をささげたいことではないのではないかと考える人もいたりします。

興味に突き進む友、そうでない友、それはある意味で私自身を映し出す鏡のような存在だったりします。職歴とか学歴とかそういうところでないレベルで、私はどういう価値観を通すのか、人生を送りたいのか、願わくばどのようなインパクトを社会に与えられるのか(もしくはそれが跳ね返って自身の幸せにつなげられるのか)ということを考えるのに、友の存在はやはり無敵です。

ということを考えつつ、プログラムの二年目に今と異なる環境で勉強することも一つの選択肢となりました。パリまたはロンドンどちらに住み、2010年までの大学院での執行猶予を最大限に活かすのか考えどきであります。
[PR]
by Haruka_Miki | 2009-03-11 00:00 | エチュード

かれらの時代

上海行きの機内で、面白い本を読みました。大江健三郎氏のわれらの時代です。この作品は、氏が二十三の時に書いた作品で、確信犯的に暗くねっちりした言葉がそこここに散りばめられ、ある時代の鬱憤を鮮やかに描いているのでした。

f0079502_0525793.jpg
それは図らずもそれから赴く地にぴったりな本でありました。発展に沸く社会と、ある経済水準に到達し、ある種の鬱憤を抱えるようにも見えてしまう社会という鮮やかな対比を頭の中で引き起こし、妙に山椒が効いたカップラーメンをすするのと、ワインやスピリッツを少々頂く以外は、ずっとこの本を開いていました。

82年から北京在住のあるフランス人のジャーナリストが、その頃の北京の様子を描写した言い方がとても独特で響いたので記しておきます。「あの頃はね、本当に何もなかったのよね。何もないのが普通だったの。だから、満たされるということがどういうことか分からなかった。だから、みんなで集まって夢を語ったわ。真ん中に庭がある隣通しで、ろうそくの光で夜通し。あのぼんやりとする仄かな光の部屋で、将来への光を語ったんだわ。」私の訳では訳しきれない気持ちが、古き中国に魅せられ、現地の人と結婚したジャーナリストの言葉に滲み出ていたのでした。

話は変わって、2010年に中国は上海で万博が開催されます。上海の街中、それだけでなく西安でも北京でも、この万博の宣伝が至るところに配置され、これがまたある一つの装置として都市を造り、人々の参加を呼びかけていることはとても興味深かったのでした。万博実行委員会にお偉方の話を聞き、様々なことが頭をめぐりました。名古屋で行われた万博の後に上海があることが面白いですし、それぞれに対する市民・国民の反応というのもまたまちまちであろうと思うと、私はどちらかというと、万博の是非だとか、国家、都市の思惑よりも、こうした社会的コンテクストが一人の若者に与える影響、また一人の若者が前者に与え得る影響に強い関心を覚えるのです。

「しかし、ぼくは同胞とか連帯とかという言葉よりも、自由とか孤独とかという言葉のもつ感情世界になじんで生きている青年なのです。そして裏切ったり裏切られたりする状況に頭を突っ込むくらいなら怠惰に寝そべっていたいと思っている青年なのです。...日本人の学生、それは永遠の行動不能の状態にある者ら、生まれついての不能者、非行動的な膠着状態におおとしいれられている者らです。」 大江健三郎・われらの時代、文庫版165ページより
[PR]
by Haruka_Miki | 2009-03-01 00:00 | エチュード