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パリ発 五感の穴

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バスティーユ

先日、オペラTOSCAの初日公演に行きました。プッチーニの音楽が聴きたい!という気持ちで胸が膨らんだわけですが、実は私にとって今回が初めてのオペラ観劇でした。パリ八ヶ月目にして。バレーは数回あるのですが、オペラは機会がありませんでした。

f0079502_18174655.jpgどちらかといえば能や文楽の方が俄然親しみがあるのは、やはり今まで東京在住だったからでしょう。プッチーニ、素敵でした。悲劇の王道。オペラの王道、なのでしょうね。ちなみに、普段14区のダゲール通りでは見かけない紳士・ご婦人が沢山おられました。ああ、この世代の人(五十以上の大人の方々)というのは、あいにく交わる機会が少ないですし、実際会話ができなさそうなブルジョワ感に満ちている方々沢山だったのですが、ひとつ。ああ、そうなのです、この世代の方々は、きちんと「ドレスコード」というのを心得た世代なのだと。私たちの普段着はカジュアル化の一途。私もたいがいはかなりラフな格好をしており、カンペール・コンバース万歳・GAPキッズのカーキ色ジャケット(150センチ弱の女子の皆さん、GAPキッズおすすめです)をひっかけて歩いている日も結構あるのですが、メリハリを楽しむ余裕というのも、実はとっても楽しい金曜日の夜の過ごし方なのだと分かりました。ちゃんと髪の毛をブローして、あまり着る機会がないものを着て出かけるのも楽しいのです。

さて、トスカは「歌に生き、愛に生き」なわけですが、最近とても素敵なカップルと仲良くなったので少し記しておきたいと思います。パートナーとして共に生きて十年ちょっとの四十代、それぞれが素敵な二人です。時に、社会の中で幾つかのチャレンジもあった関係のようですが、その話を聞いていて今の二人がある、私はとても胸が熱くなりました。そして彼が言うのです。「僕らは、自分たちの関係を長期に計画しないよ。けれど本当に幸せなことに、おととしよりも去年、去年よりも今年、時を重ねれば重ねるほど好きになってる。」そんな台詞を、しかも友達に面と向って言えること、なかなかないかなと。今年が図らずして本当に素敵、相手がもっと大切、未来向きでない今を重ねて振り返ったら長い道を一緒に歩いてきた、そのことへの驚きと感謝を繰り返し感じて行ける関係を紡いでいる二人をとてもリスペクトしています。

ちなみに。私が好きな文楽の演目に、伊達娘恋緋鹿子というのがあるのですが(人形使いが見事で、お人形なのにやけに色つやがあるのです)、悲劇的なトスカのエンディングと、同じ悲劇とはいえ伊達娘恋緋鹿子のエンディングの違いに、なんとなく日本と大陸ヨーロッパの悲恋のニュアンスの違いを描いているなと思ったのでした。やっぱり悲劇は、できれば芸術の中だけで、現実には上のようなカップルで溢れていて欲しいなと思った金曜日です。
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by Haruka_Miki | 2009-05-30 00:00 | 芸術

あの街のこと

東京は武蔵野、中央線で普通電車しか止まらない国立駅から南武線まで一本の大きい道が一本通り、そこを中心に扇型に拡がる街、国立があります。東京で、Boulevardという言葉が似合う道を持った街というのはここ以外には少ない気がします。ここが放つ空気感というのはかなり特別で私は大好きです。おそらく、この界隈で学生をしていた人は同じような気持ちをこの街に持っていると察するのですが。中央線と総武線の喧噪に、郊外独特の家族の香りに、この街特有のふわりとした品の良さ・悠長さが混ざり合い、中でも国立、というファンは多いはずです。

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さて、なぜこのような話をしているかと言えば、学部時代に足しげく通った喫茶店が12月に閉店したことを昨夜たまたま知ったからです。喫茶店・邪宗門。元船乗りでマジシャンでおられる名和さんという名物マスター(髪の毛はオレンジ色に染められた長い髪で、たいてい赤色が少し入ったキャップをかぶったあの方がいれられるコーヒーを求めて、通っていました。小さな通りに面した小さなレンガ造りの喫茶店は、10人と入れないほどではないのでしょうか。詳しくは以前書いたコラムをご参照ください。名和マスターのご冥福をお祈りいたします。

というわけで、以下国立おすすめのお店たちを。

国立邪宗門
国立店の壁には、時計がたくさんかかかっていて、コーヒーカップがそれぞればらばらで味があったように記憶しています。チェーンでは決してありませんが、お仲間が開いた同じ名前の店がたくさんの場所にあります。

ロージナ茶房
1954年創立。ロシア語の店名です。コンサートもたまにしています。寮の先輩らがバイトをしていたことを思い出し。お茶使いがおすすめです。

西欧菓子伊藤屋
とても素敵なマダムがいらっしゃる店で、ケーキもチョコレートも優しくておいしいです。

レ・アントルメ国立
瓦屋根の店内、ケーキもパンもこだわっておられるのでしょう。

萬笑
にらラーメンに味噌ラーメン。元フレンチのシェフのお店でとても美味です。

ステーキテキサス
コーヒーが薄すぎます。でもいいんです、テキサスだから。29日は肉の日なので、行くなら肉の日に。

農家の台所国立ファーム
この店は割合と新しいのですが、野菜をただ蒸したものなども濃い野菜の味。

韓国料理たんぽぽ
ゼミの先生がここが大好きで、何かにつけて打ち上げにはここに出没。やさしーいお母さんが美味しいごはんを山ほど出してくれます。

帽子アトリエ関民
年配になった時に帽子が似合う女性になる、というのが一応個人的抱負なのですが、この店の雰囲気は圧倒的です。

たばこ・喫煙具サンモ―クさえき
私はタバコを吸わないのですが、寮の仲がいい友人がバイトをしていたこと、ないものはない、の有名コピーでこの店を知らない人は界隈ではいないこと、それから煙草が描き出すけだるそうな雰囲気が、嫌いでないのです。
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by Haruka_Miki | 2009-05-25 00:00 | Nippon

ミントティーブレイク

学校カレンダーで言うところ、早いもので今年もあと一週間です。一週間後からはもう少しブログのアップデートも頻繁にできるようになるかと。先日、マレのバーにてジャズのセッション、オペラバスティーユにてトスカを観る機会に恵まれたので、そちらの報告も含め。ちなみに本日のパリは快晴なり。シャワーを浴びてもすぐ汗ばむ陽気に、カフェにはこぞって人が集まっていることは言うまでもありません。ビールに手が伸びそうですが、ここはくっと押さえてミントティーにミントの葉を煮詰めて砂糖を加えたミントティーで代用。

今日のところは菊地成孔氏のちょっと素敵な音源を。やはりジャズとエレクトリックな音に目がありません。
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by Haruka_Miki | 2009-05-24 00:00 | 芸術

初夏から秋

五月になって、めまぐるしく毎日が過ぎていきます。一学期が割合平和だったので、フランスの大学院とはこんなものなのかと思っていたところもちらいあり、しかしその頃ののほほんさが今頃効いてきました。試験だ、レポートだ、プレゼンだ、それは社会人の時の忙しさと毛色が異なる忙しさなのですが、なんとか乗り切りたいもの。他方、前述のように外出する機会もあるのですから。

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現在専ら気になるのは、六月から九月の身の置き方がいま一つ確定していないところです。インドという話があったのだけれど立ち消えになったような、サブサハラないし西アフリカという話がちらりあるようなないような、ジュネーヴという話があったり、しかしよく考えれば六月なんて、朝のベッドの中での伸びを十回位経験すればすぐそこ、であります。ミステリーサマーということで、これで結局パリに落ち着くのであれば、それもそれでありかしらと思っております。

そして秋からロンドンに拠点を移します。いつからこんなにノマドになったのか。そういうつもりがあるわけではないのですし、腰を落ち着かせてゆったりとしたい理由もそこここにあるのだし、陽の移ろいを楽しむことが好きなわけですが、なんだかんだ忙しない最近です。

バケツをひっくり返したような大雨がFM89.9に烈しい音を射しているパリより。
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by Haruka_Miki | 2009-05-13 00:00 | 五感

車の中で

友人が高校生の時、一年だぶったということで、ふーんと車の後ろできいていたのだけれど、その理由がとてもらしかったのです。

「数学などよりも、当時の関心事はもっぱらもっと実存的なものだったんだよね」

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えー、この景色を見ながら、そんなこと考えていたの!思わず、サルトルが「嘔吐」を書く文化圏なわけだと納得の一コマでした。

「雨は止んだ。大気は暖かく、空をゆっくりと黒い美しい雲が流れている。完璧な瞬間の額縁として、これ以上誂え向きのものはない。アニーだったらあれらの雲を映しとるために、私たちの胸の中に小さな暗い潮汐を生まれさせただろう。だが私はこの機会を利用する術を知らない。私は心安らかに虚ろな気持で、この利用しようのない空の下を、あてどもなく歩くだけだ」(サルトル・「嘔吐」116ページ)

話は変わりますが、最近は久々にTei TowaのLet me knowがヘビーロテーションです。
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by Haruka_Miki | 2009-05-06 00:00 |

ただちょっとだけれど存分にぜいたくをするということ

たまには、とことん食べ物のレポートというのをしてみようと思います。

意外と写真を撮っていないことが判明したのですが、連休に仲良しのお誘いで、アヴィニョンから少しのところにある町のお友達のところにお邪魔しました。なんというか。紅の豚の糸井さん風に言うと、ゼイタクとはこういうことさ、ということになるのだと思うのですが、フランスの底力、それは地方都市にあり、と今回改めて思いました。

最初は、小さな小さなプロヴァンスの村にある、仲良しの従妹の旦那さんの妹さんの彼氏の高校時代の親友のご両親(遠い!)のお宅を改造した民宿的お宿、それから最後の日は、これまた仲良しの従妹の旦那さんの妹さんの彼のご両親のお家(やはり遠いですね、もはや私なぞ棚ぼたの極みです)にお世話になりました。そのお父さんというのがお料理の先生ということで、とても美味しいお料理をご馳走になりました。このご家族が本当に素敵で、その息子(私の仲良しの従妹の旦那さんの妹さんの彼←しつこいかしら)がまたとてもサンパな男性なのですが、やはりご両親もとても素敵だったのでした。ちなみに、ご両親が手際よくお料理を出したり、ワインを用意してくださっている間、わたくしただその辺に腰かけてプールに入ったり、芝生に寝そべったり、完全に「華麗なるギャッツビー」のルーシーさながらいいご身分をしているだけでした。

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赤ワインとプロヴァンスハーヴが香るうずらのグリル焼き
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ワインたち。その他ご両親が元々ピレネーの方たちなので、その方面の発泡酒も
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この地方のデザート。名前を忘れてしまいました

結局、こういうおもてなし一つにしても、どれだけ土着の文化に根付き、自然かつダイナミックな時間と空間の共有ができるかということになるのだと思います。私も、こうした時空のぜいたくができる茶目っ気を持った大人になりたいものです。

次の日の朝は、6時代の新幹線に乗るべく早起きだったのですが、お父さんが朝から美味しいエスプレッソを淹れてくれました。ありがとうございます。おかげ様でリラックスの三日間でした!
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by Haruka_Miki | 2009-05-05 00:00 |

すずらんをあげたいあなた

今朝学校に行ってみると、学校の郵便受けに祖母からの手紙が来てました。
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祖母の文字がとても好きで、それは少し母の字にも似ているのですけど、どうにも優しげです。すべての愛情を込めて昔の人、と言う言い方ができるのだとすれば、祖母の文字も、その縦書きも、まさに昔の人。最近は記憶の忘れものも多い祖母ですけれど、そういうのはずっとずっと残っていくのね。祖母から母へ、母から私たち娘へ、皆声質が同じ、というのと少し似ていて、字もどこか世代を通じて似ていくところがあると思うのですが、いかがでしょうか。

先週はロンドンからお客さまがいらしてて、いろいろお話する機会がありました。久々に、というか実は今回こちらに住まってからは初めてではないかというほど、セーヌ河沿いを右に左に歩きました。お客さんにゴシック建築の美しい見方・方向というのを教えてもらったので、早速次にパリ案内(というかたいがい案内されている側なんですが)をする機会があったら、この知恵を他の方に伝授したいと思います。来月には、東京から仲良しこよしがやってきます。2000年に予備校に一緒に通っていた彼女は、仕事で夏からアメリカへ。まぶしさ満天のあなたの活躍を真に応援しつつ、いつまでも女の子としてのわーわーあーだこーだの同意感のレベルでは、きっとどこで会おうとも、いつ会おうとも変わらないのだという安心感があります。

ちなみに、5月1日はわたしの妹がちゃぴんの誕生日なのですが、それ以外にフランスでは勤労感謝の日・またMuguet(すずらん)の日ということで、日頃お世話になっている方々にすずらんを差し上げるという日なんだそうです。大晦日の松飾り並に、街はすずらん売りで大賑わいです。

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最近のわたくしと言えば、いつもながらその時読んでいる本に完全に感化されるタイプで、現在は民営化・規制・自由化にまつわるinstitutional isomorphismというやつにはまっております。国際機関にEU、多くのことを説明し易い概念だと思うのですが、多用は禁物です。それから、お陰で三連休が急ぎ足になってしまったのですが、月曜日に、WTOにおいてEUROPEAN COMMUNITIES – MEASURES AFFECTING THE APPROVALAND MARKETING OF BIOTECH PRODUCTSを模して我らNGOがアミカス・キュリエとして申請書を提出するという授業を一日がかりで行いました。これがなかなか面白かったので、いつか記せたらと思います。ちなみに、非常にランダムな役回り設定で初めて議長を務めたのですが、ただの授業でも大変だということが分かり、その点でも学ぶところが多かったのでした。
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by Haruka_Miki | 2009-05-01 00:00 |