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パリ発 五感の穴

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La soirée du hammam

先日、敬愛するべーシストのRon Carterが来仏すると聞いて、なかなか行く機会のない界隈、Chatêau d'eauの老舗ジャズライブハウスNew Morningに行ってきました。
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この界隈は、ウィッグや髪の編みこみをしてくれるアフリカ系の人口が多い地域で、これがニューヨークであれば、さながらハーレム的なエリアと言ってもいいかと思います。カルチエ毎にマグレブ系の人が多い地域、中国・ベトナム・カンボジア系が多い地域、ユダヤ系の人が多いエリアとBOBOが出没しがちなエリア、レインボーフラッグが目立つ自宅の近く、移民が極端に少ない左岸、韓国系が多い左岸のエリアなどある程度の住み分けがされ、それもまた面白いパリです。

鬱々とした気分だった高校時代に聞いた彼のアップライトの演奏に感銘を受けた十代。二十代になって、東京でJim Hallとのセッションを観に行って約二年が経ちますが、変わらずの長身と優しい語り口調、きちんと仕立てた黒いスーツを着てすっと座る彼は本当に色艶のある素敵なおじさまです。今回は、一度聴いてみたかったギターリストのRussel Maloneもトリオの一員として参加していて、それは熱いソワレになったのでした。空調が効いていないことが多いこの街の建物、ライブハウスもご多分にもれず。入口のセキュリティのおじさんも、皆の熱気と暑い夜の相乗効果で、今夜はLa soirée du hammamだね、と笑っていました。

さて、当日は本当に白人の観客が多かったです。アフリカ系の人が多いこの地域で、局地的に異なるデモグラフィー。それにプラスしてアジア人はわれら位なものだったんではないかとお見受けしました。結局ジャズ文化がニューヨークやニューオーリンズ、そしてデトロイトのそれほどではないかもしれない、もしくは一風異なる位置づけがされているように思える音楽だからかもしれません。とはいえ、こちらでタクシーに乗った中でジャズのラジオを聴いているのは、今までの経験だとたいがいアフリカ系の運転手さんでした。ですから、白人のお客さんだけに受けているわけでは決してないのだと思うんですけど、実際に会場に足を運ぶ人口と、ジャズが好きな人口にある一定のギャップがあるようにも思えました。

皮肉なことに、Ron Carter氏がジャズを始めたきっかけ、それは彼が黒人であったことというのを雑誌か何かで読んだことがあります。デトロイト出身(というのも一つ親近感が湧くポイントです)の彼は、元々チェロ奏者を志し学校に行っていたそうですが、人種が問題になり、オーケストラに入団できなかったとのこと。白人のジャズミュージシャンがいても特段奇異に見られないのに、その反対は。そしてアフリカ系であるならばジャズでしょうという固定概念の深い根。それは私の中にもあるのかもしれないのですが。反対をつくと、演歌を唄うアフリカ系米国人のジェロがとても人気になったりで、ワインの如くブラインド・テースティングがあったら、演奏者と聴き手に何か変化があるのだろうか、興味深く思っています。
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by Haruka_Miki | 2010-07-26 00:00 | 芸術

家を楽しむ

初めてこの季節に街に残っています。この夏は特段街を出る予定もないので、街に残った友人との家の会が多い今日この頃です。
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河沿いに集まって、市が作ったゴザやイスの上でチーズ・ワイン・パンとオリーヴのゆるい会に参加してみたり、お魚料理をふるまってくれるというので友人宅に出かけてみたり、ちらし寿司やお惣菜を作ったというので河を渡ってお邪魔してみたり、こちらもかき揚げとうどんの会を開催してみたり、皮から作る水餃子の会をしてみたり、そんな感じで家周辺での活動を活性化させています。東京にいる時も、家が大好きだった私は、半ば無理やりそれなりの頻度で家の会を開催していた方かなと思うのですが、パリという街はこの家飲みというのが一つのジャンルとしてかなり確立していて、通常東京のコンテクストで行っていた「飲み会」に匹敵するのが、家でゆるーく食べたり飲んだりする"Fête"にあたるんではないかと思われます。

お呼ばれするのも家で開催するのも、すこぶる楽しい家の会です。先週は目に鼻に舌に美味しいごちそうにありつきました。日本人の奥さんもこちらにずっとおられて完全にパリジェンヌであるし、あのいつか行ってみたい、バオバブやおサルさんで有名なインド洋の美しき島出身の旦那さんの腕の良さと言ったら、違う職業(そしてこのお仕事も大変な知識と技能を必要とするお仕事なわけですが)をされているのがもったいない位です。久々に五感全体に訴えかける素敵な嗜好をお持ちのカップルに、とても感化されたのでした。家には旦那さんが描いた色彩豊かな画も飾られていて、趣味なんでしょうけど、なんとも豊かな気持ちにさせてもらいました。その夜のメニューは、唐辛子に魚のすり身を入れて焼いたん、茄子の煮浸し、タヒチ風鯛のカルパッチョ、マダガスカルレシピの牛の尻尾を圧力鍋で甘辛く煮てご飯と頂くメイン、最後はアモリーノのココナッツとマンゴーのアイスを食べながら食後酒のラム酒と、エスプリが効いていて、最高に刺激される会だったのでした。

それから、一歳半の小さい子もいましたが、こんなに大人慣れした子供を見たことがないのでびっくりしました。知らない人が大勢のはずなのにちっとも怖がらないし、むしろにこにこやっているのが印象的でした。彼の性格なのか、環境なのかは分からないのですが、歯が生え始めたばかりのあの子も、一人の立派な「人」でした。夜も更けると、パジャマに着替えるのを合図に、バイバイと愛想をふりまいて自分の部屋に大人しく連れていかれて自分で寝てしまいました。

女の子が女性になる中で、「女子高生」になったり、「女子大生」になったり、「OL」になったり、「アラサ―・アラフォー」と呼ばれたり、そのうち「お母さん」以外の顔を見せなくなったり、そういうのに多少の違和感を感じたりの、相変わらずあまのじゃくの私です。けれども、その社会的な括りが妙に自身でもしっくりきたり・こなければ、ストレスを感じながらがんじがらめになるも、それは最終的には社会の括りを自分がいかに受け入れるかということであって、これも・あれも・それも私であるし、私の大好きな時間はこんな・あんな・そんな時間もあるのです、という生き方も当然可能なのだと思うと。これからがもっと楽しみになるし、家を中心とした生活も楽しみになるのでした。
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by Haruka_Miki | 2010-07-25 00:00 |

美の話し、美の眼差しについて

髪の毛を切りました。肩下15センチ程になった髪がそろそろ長すぎたので、思い切って襟足ぎりぎりのボブにしました。
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髪の毛を洗おうにも、ヘアパックをしようにも、洗う部分もパックをする部分も少なくて不思議な感じです。山田優ちゃん位短くなったのですが、どちらかというと故・南田洋子さんに似た髪型であることが分かりました。海外に出ると、たいてい悩むのがどこで髪の毛を切ってもらうかということだったりすると思うのですが、私もこちらに来てから切ってもらっていた美容師さんが東京に帰ってしまって、今回は自宅で切ってくれるヘアメイクのお姉さんにお願いしたのでした。ビーチサンダルで現れたお姉さんは、普段はコレクションのヘアメイクをしている方で、カザニエ(出不精)の私にはうってつけな話しです。お姉さんは、美容師のくせして、美容院が苦手なのだそうです。あの、お客さんがオシャレ空間で話さなくてはいけないとがんばってしまう空間がなんとも、ということらしいんですが。華やかな世界の裏方をする方の発言としては、なんとも興味深いです。確かに、出不精たち以外のも、なんらかの事情で外に出られない人たちに、こういう出張サービスは好都合なのです。

この街にも、色々な職業の邦人がいるのですが、こういう美容関係の方も少なからずおられます。普段は全く縁がない世界ですが、やはりそこが伊達にクチュール・プレタポルテ問わずコレクションが多い街であり、一応は美容といえば、の街であることがうかがわれます。

この街、またロンドンにおいてもよく見かけたのですが、日本で言ういわゆるエステよりもゆるい感覚のInstitut de beautéが街の至る所にあります。お金を積んで何カ月コース・何回コースでするというよりは、一回ずつ予約をするタイプで、美顔・マッサージ以外でも特に夏に需要があるような(つまり、ブラジルで盛んの、セックス・アンド・シティのシーン的なコースです)単発のコースが沢山あり、安価です。一見さんお断り、というところはないので、ありがたい、という話しです。

美容院にしてもこういうエステにしても、どうやらこうなのかなと思うところは、やはり美で気にする対象が東京でのそれとはかなり異なることです。シミや肌の透明度、まつげの長さ(「盛る」という言葉、私が日本を出てから流行ったようですが)、芸が細かいネイル、髪型の完璧さに目がいきがちかと思うのですが、こちらの場合は、ネイルはたいてい自分でやったんだけど、利き手の反対はやっぱりちょっとはみだしちゃったわ、位なもので、日焼けなど、日本の美白の巨匠が怒りそうな、もう少し自然児的なオシャレだとか、大切な人の前でしか見えない身だしなみというのがとても重要視されているような感じです。海外に出た日本女子たちは、ヨーロッパ・アメリカ・その他の国々に問わず、たくましく日本で使っている化粧品や現地調達をしつつケアを怠らないのだと思うのですが、こちらで大切に思われている身だしなみは、他方自分で出来る範囲が限られている気がします。海外かぶれした・ないし外国から日本に移り住んでいる女子たちは、日本と自身の国のエステ事情に少なからず困っているんではと思った次第です。

こういう違いに思うのは、彼女の美意識が、誰の美意識であるかということであって、東京で慣れ親しんだ美容は、男目線の、彼の嗜好もさることながら、やはり私の美意識、雑誌などが誘導する私たちの美意識という女子目線が強いものだと私個人は思ったりしています。当然東京を出てみても、私たちの美意識だとか、彼の美意識というのが当然刺激になり美容の流行を作っているのだと思うのですが、その両者のどちらがより、と言えば、おそらく後者の男子目線というのがすこぶる大切で、その中で上のような身だしなみが当然視されているのかなと思ったりします。

美意識・エステ事情に通じるところは、多分その国の恋愛のお国柄であったりもするのかなと思いつつ、昨日は仏人の友人とその辺りについてとても興味深い話をしたので、またそこについても記せたらと思います。
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by Haruka_Miki | 2010-07-07 00:00