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パリ発 五感の穴

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なまえのこと

ロマンを馳せる都市の名前というのはいくつかあって、小生の場合、例えばアルゼンチンのブエノスアイレス、アメリカのサンタフェ、ウズベキスタンのサマルカンド、イランのエスフェファーン、ポルトガルのリズボン、中国の敦煌、ウクライナのキエフ、ブラジルのリオデジャネイロ、イタリアのヴェネツィアなどがそれに含まれるのですが、そのうちの一つがサンクトペテルブルグかと思います。今回、イースターの休みを利用してこの地へ来ました。キリル文字が持つ柔らかみに触れ、ホステルのお兄さんに教えてもらった地元の食堂ではメニューもなかなか解読できずとも、とても居心地がいい街です。

なまえのこと_f0079502_142633.jpg
都市の名が持つイメージというのはどこまで「現実」と合ったものなのか、これは確実に個人的な経験でしょうから、これが本当だとかという安易な結論には至れずとしても、その名前と土地の関係性について考えたりしています。そういえば、国で言うとGeorgiaがロシア語読みの日本語標記を改めてほしいと外相会談で伝えたことは記憶に新しいのです。

名前というのは不思議なもので、やはりそこに一種のアイデンティティが宿ることは、都市の名前でも人の名前でも同様な気がします。そして、名前がまた、政治に翻弄されることも、この地は身を持って示しているように見えるのです。話は少し異なりますけれど、このことは、例えば日本においてもエスニシティを覆い隠すように、もしかしたら自身の出身のエスニシティとは異なるかもしれないけれど、戦略的に「和名」的な名前を名乗ったり、もしくは社会が、エスニシティの多様性を歓迎するといよりは、暗にそうした統一性を推奨することにあるのかもしれません。

近年、都市の合併が多くみられましたけれど、この場合も、新しい都市の名前をどうするかということがかなり話題になっていたように思います。少し気になったのは、新都市の名前の決定方法は、どのようなプロセスが一般的なのでしょうか。仮定として街・町の名前が帰属性に繋がっていて、また政治経済方面に影響を与えるのだとしたら、この意思決定プロセスというのはとても重要に映ります。というわけで、Googleで「合併 新市名 決定方法」をキーワードに検索してみました。オンライン上で情報が公開されている場合がいくつかあるようです。

岩手県西根町・松尾村・安代町の場合
「新市の名称の決定方法について (協定項目4-1)新市の名称は、三町村が一体感を醸成し、新たな地域づくりを行っていくことから従来の名称は使用しないこととし、新市にふさわしい名称を公募し、協議会で決定する。」

千葉県長生郡市の場合
「新市名称決定方法
1. 応募作品の多数意見をもって長生郡市合併協議会において決定します。
2. 集計にあたっては、長生郡市合併協議会委員のうち各市町村の議会議長が集計確認者として確認を行います。また、有効・無効の区分け、グループ分けに疑義が生じた場合は、集計確認者が協議により定めます。
3. 集計に当たっては、以下によりグループ分けを行い、グループ順位1位を決定し、更に1位グループ内の最多数意見のものを選定します。
・ 読みが異なっても、漢字が同一のものは同グループとします。
・ 漢字が異なっても、読みが同一のものは同グループとします。
・ かな(カナ)表記のもの(漢字まじりを含む)は、同一の読みがある漢字のグループとします。 」

愛媛県西条市の場合
http://www.city.saijo.ehime.jp/gappeikyougikai/pdf/kyougikoumoku/h_shiryou_11meishou.pdf

結局、都市の名前一つをとっても、その問題は民主主義とは何かという命題にかかってくるわけで、民主主義のベースとなる情報公開、意思決定に参加する方法の確保について考えてみたいと思います。

"No one is born a good citizen; no nation is born a democracy. Rather, both are processes that continue to evolve over a lifetime. Young people must be included from birth. A society that cuts itself off from its youth severs its lifeline."
—Kofi Annan, Ex-United Nations Secretary-General
by Haruka_Miki | 2009-04-07 00:00 |
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