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パリ発 五感の穴

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ハリネズミの映画

昨夜は建国記念日で沸いたスイス。スイスの国旗や動物をあしらったまあるいランタンがとびきり可愛らしく。湖沿いには大きなチーズフォンドュがお目見えしたり、ボートレースが行われたり、ジュネーヴはいつもの静けさとは考えられない大賑わいでした。ジュネーヴはいまいち文化的面白みがない、という思いで今までいたのですが、夏のジュネーヴは芝生の上で、公園で、街角で、楽器を演奏したり、歌を唄ったり、それもクラシックからアフリカンタムタムをベースにしたオルタナティヴまで様々。こうして見ると、今まではなぜ彼女のような人が、といまいちよく理解できなかったのですが(失礼な)「存在の耐えられない軽さ」の芸術家・サビーナが一時住んだ街というのも納得する最近です。

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さて。今日はそのようなお祭り騒ぎも忘れてしまう程、素敵な映画を観ました。フランス映画「Le hérisson」です。昨日パリから、この映画を大絶賛のメールをもらい、スイスでも公開されていたので行ってみました。個人的に、先日パリで観た「おくりびと」なども海外で観るからか、とても琴線に触れたのですが、今日観た映画は、ここ最近観た映画の中でも一番印象深かった作品の一つと言ってしまってもいいかもしれなさそうです。パリは十六区、ボーダーシャツに金縁の丸眼鏡とくるくる頭がかわいいけれどちょっと内向的な十二歳のインテリ、お洒落もせずに唯一の快楽はブラックチョコレートとお茶を手元に本の管理人さん、引っ越してきたばかりで小津安二郎と苗字が同じのミステリアスな日本人の紳士、猫は家に閉じ込めておくけれど、管理人は家の中に入れない母、などなど、キャラクターの厚さが光っており。Sauvage(野蛮)だけれどエレガント。この二つの絶妙なコンビネーション。

お話は皆様の楽しみを奪ってしまうから省略させて頂くとして、この映画が日本でも公開されることを切に願います。というのも、監督さんは、大の日本びいきで現在もご夫婦で京都のヴィラ九条山にお住まいとか。元々はベストセラーの小説をベースにしているのだそうですが、映画で映像化されているイラストなどの世界観がとても素敵でありました。ちなみに、le hérissonとはフランス語でハリネズミのことだそうです。私が大好きな二大動物の一つです!(もう一つはアルパカ)その辺りでも個人的にかなり自身の情感に合った映画でした。



"Toutes les familles heureuses se ressemblent, mais chaque famille malheureuse l'est à sa façon".『幸せな家族はすべて似通っているが、不幸な家族はそれぞれ違う風に不幸である』アンナ・カレーニナの冒頭より
by Haruka_Miki | 2009-08-02 00:00 | 芸術
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