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パリ発 五感の穴

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家を楽しむ

初めてこの季節に街に残っています。この夏は特段街を出る予定もないので、街に残った友人との家の会が多い今日この頃です。
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河沿いに集まって、市が作ったゴザやイスの上でチーズ・ワイン・パンとオリーヴのゆるい会に参加してみたり、お魚料理をふるまってくれるというので友人宅に出かけてみたり、ちらし寿司やお惣菜を作ったというので河を渡ってお邪魔してみたり、こちらもかき揚げとうどんの会を開催してみたり、皮から作る水餃子の会をしてみたり、そんな感じで家周辺での活動を活性化させています。東京にいる時も、家が大好きだった私は、半ば無理やりそれなりの頻度で家の会を開催していた方かなと思うのですが、パリという街はこの家飲みというのが一つのジャンルとしてかなり確立していて、通常東京のコンテクストで行っていた「飲み会」に匹敵するのが、家でゆるーく食べたり飲んだりする"Fête"にあたるんではないかと思われます。

お呼ばれするのも家で開催するのも、すこぶる楽しい家の会です。先週は目に鼻に舌に美味しいごちそうにありつきました。日本人の奥さんもこちらにずっとおられて完全にパリジェンヌであるし、あのいつか行ってみたい、バオバブやおサルさんで有名なインド洋の美しき島出身の旦那さんの腕の良さと言ったら、違う職業(そしてこのお仕事も大変な知識と技能を必要とするお仕事なわけですが)をされているのがもったいない位です。久々に五感全体に訴えかける素敵な嗜好をお持ちのカップルに、とても感化されたのでした。家には旦那さんが描いた色彩豊かな画も飾られていて、趣味なんでしょうけど、なんとも豊かな気持ちにさせてもらいました。その夜のメニューは、唐辛子に魚のすり身を入れて焼いたん、茄子の煮浸し、タヒチ風鯛のカルパッチョ、マダガスカルレシピの牛の尻尾を圧力鍋で甘辛く煮てご飯と頂くメイン、最後はアモリーノのココナッツとマンゴーのアイスを食べながら食後酒のラム酒と、エスプリが効いていて、最高に刺激される会だったのでした。

それから、一歳半の小さい子もいましたが、こんなに大人慣れした子供を見たことがないのでびっくりしました。知らない人が大勢のはずなのにちっとも怖がらないし、むしろにこにこやっているのが印象的でした。彼の性格なのか、環境なのかは分からないのですが、歯が生え始めたばかりのあの子も、一人の立派な「人」でした。夜も更けると、パジャマに着替えるのを合図に、バイバイと愛想をふりまいて自分の部屋に大人しく連れていかれて自分で寝てしまいました。

女の子が女性になる中で、「女子高生」になったり、「女子大生」になったり、「OL」になったり、「アラサ―・アラフォー」と呼ばれたり、そのうち「お母さん」以外の顔を見せなくなったり、そういうのに多少の違和感を感じたりの、相変わらずあまのじゃくの私です。けれども、その社会的な括りが妙に自身でもしっくりきたり・こなければ、ストレスを感じながらがんじがらめになるも、それは最終的には社会の括りを自分がいかに受け入れるかということであって、これも・あれも・それも私であるし、私の大好きな時間はこんな・あんな・そんな時間もあるのです、という生き方も当然可能なのだと思うと。これからがもっと楽しみになるし、家を中心とした生活も楽しみになるのでした。
by Haruka_Miki | 2010-07-25 00:00 |
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