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パリ発 五感の穴

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プチパレにて

パリ市立美術館のプチパレで行われている、イブ・サンローラン回顧展に行ってきました。

プチパレにて_f0079502_08597.jpg
3月からのロングランも、今月でおしまいです。8月末で終わってしまう展覧会、朝から沢山の人が作っていました。時間帯予約の券の売れ行きも順調の様です。私も駄目元で身体的状況を説明すると、そうですか、じゃあメインの入り口ではなく、あちらの入口からどうぞーと、ありがたく横っちょから通してもらいました。ネゴ社会フランスではNonはOuiでもあり、その辺は交渉次第、とよく言ったものです。こういうゆるさがこの社会の居心地がいいところであり、反対にきっちりしているのが性分の方にはいい加減に取れるところかもしれません。

ファッション関係の展覧会はそれほど行ったことがなく、覚えている限りは埼玉県立近代美術館のファッションとスペイン文化展、ベトナムでたまたま観たピエール・カルダン写真展と、森美術館のヴィヴィアン・ウェストウッド展位なものかと思います。あまり縁がない世界ですが、プレタポルテにはないオートクチュール独特の世界観だったり美的感覚だったりが、世界の人々に与える影響というのはこうして歴史にしてみると明らかな訳で、特にイブ・サン・ローランというその人がフランス社会に与えた影響というのは、ココ・シャネルやクリスチャン・ディオールのそれと同じ様に、とても大きい様です。

私は日常に追われ、そんなことをすっかり覚えてもいなければ、おそらくはその記事さえ読んでいないのですが、相方曰く、2008年にイブ・サンローランが逝去された時、フランスは深い悲しみに包まれたのだそうです。ル・モンドは、一つの美しい花が散ってしまった、という風なこの上なく上品で上等なフランス語で彼が逝ってしまったことを追悼したのだと。

60以上の高級ブランドを傘下に持つコングロマリットが幅を利かすきらびやかな世界は、とてもまぶしくて、時に色艶が見えない位に、金銭的価値で計られ、私自身そうした状況にある程度の距離感を置いてしまうのです。値札がついていない空間で洋服が見られて、そうしたことが逆に浮き出てきて、なんとも味わい深い展覧会でした。
by Haruka_Miki | 2010-08-20 00:00 | 芸術
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