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パリ発 五感の穴

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NYC: 今回の旅のテーマ

久しぶりにアメリカを訪れて、何がよかったかといえば、今一度自分が金融市場の中で仕事をし、それでおまんまを食べていることを再確認したことである。日々の仕事から一歩離れてみて実感したことは、どうやら、自分が思っている以上に、金融市場の可能性というものを信じているし、その恐ろしさも含めて、興味が尽きないらしい。よくよく考えれば、学部時代から政治学のゼミを取りつつ、社会学を学びつつ、哲学に触れつつ、社会心理学を受講しつつ、金融体系を常にその焦点に置いていたのだ。先に述べたヴァイオリニストに、「あなたのようなどちらかといえば繊細な感性や文学性やアヴァンギャルドなマインドに興味を持ちそうな女性が、なぜ金融を選んだのか」とふと聞かれたことが、ある意味今回の旅行のテーマになったような気もする。
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マネーゲームはマネーゲームに過ぎないし、そこに何か価値を見出せるかといえば、それは各人の価値観によるだろう。けれど、私はどうもそこに人間性をとても見て、それがおそらく私が初めての仕事に金融を選んだ所以かと思う。何が人間性だいというお言葉はまことだと思う。ただ、結局、秒毎に変わる数字の羅列は、人間の読みが大きく影響するのだし、それこそ人間の欲望や感、将来の予想というものが無数に重なってできていると思うと、ものすごく面白い社会的活動だと思えてならいのだ。

そう思うと、今まで以上に自発的に金融市場を知りたいと思えてきて、帰国してから、朝の支度時には、今までのNHKラジオ日経ポッドキャストに変えて、ブルーンバーグのサテライトラジオを聞いている。これが大変興味深く、アメリカの経済系メディアの質の高さを思う。

さて、金融市場にある一定の可能性を信じたい部分として、多分私がそうは言っても興味とは別の次元で、いかに社会に貢献できるかという大それた野望を秘めていることだ。公だからできることがあり、私企業だからことできることがあり、最近はこの私企業だからできる社会貢献というものに、前にも増して高い関心を抱いている。例えば、私が大好きなスーパーマーケットに、Whole Foods Marketがある。会社の研修で訪れた際のアパートがこのアパートのすぐ横だったことでこの店を知った。最近のアメリカのスーパーではこの形式が多いよ、と母が言っていたが、野菜売り場でも、Conventional従来の生産方法でできた野菜と、Organic有機野菜の二つのラベルがあって、消費者としては嬉しい。食品から惣菜、生活用品までいわゆるLOHASな商品が並んでいる。余談だが、それに加えてチェルシー店の店員さんは皆感じがいい。この店の株主が、店の方針をどのように評価するかは置いておいても、この店が全米でかなり大流行なのは、紛れもなく市場との関係がある。その絶妙な関係の中で、利益も追求するけれど、自然や人に優しい商品を提供する。

先のブルーンバーグラジオを聴いていて興味深いのが、ラジオの中身もあるのだが、それと同様にラジオの合間のコマーシャルの内容だ。様々な金融機関が盛んに自社の宣伝をするのかと言えばそうではない。その殆どはボランティアをしませんかとか、寄付をお願いしますとか、そういう社会貢献に関するものなのだ。そのギャップがものすごく面白い。

市場は万能ではないだろうけれど、様々な欲望で形成される資本市場が、ゆくゆくは様々な社会貢献に目を向けざるおえず、必要性にかられなくても、このコマーシャルに見られるように、自分が社会貢献したいと思う次なる「欲」につながっていくのであれば、マネーゲームは本当にマネーゲームだけではなく、マネーメーク&マネーユーズとなる。その最先端がニューヨークであると今回強く感じ、有意義な経験となった。
by Haruka_Miki | 2007-08-01 00:00 | 経済的営み
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