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パリ発 五感の穴

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タイムカプセルを受け取る

父から、私が南米旅行をしていた時に送った葉書きがやっと家に届いたとのメールをもらいました。葉書きを出してから、かれこれ一ヶ月目にしての到着です。

旅の記憶は薄れるものですが、葉書きの走り書きは、旅をしているその瞬間に目がとらえたものや、感じたことを後々にまで残してくれるようで、旅から生活にすっかり戻った人にとっては、ちょっとしたタイムカプセルのようなものだったりもします。その中で、このブログでも旅行中に記していなかったもので、とても印象的だった美術展などがいくつかあったことを、父からのメールで思い出したので記しておこうかと思います。
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(ブエノスアイレスのチャペル。ミサ進行中)

1. NY: グッゲンハイム美術館のCai Guo-Qiangのインストレーション
目が釘付けでした。グッゲンハイムやMoMAはどうも混んでいるし、とある程度離れた視点で見るものの、氏の作品は衝撃的でした。火薬を用いた絵、火薬を用いた屋外での爆発プロジェクト、インストレーションに日本の沿岸部の村においての社会プロジェクトなど、茶目っ気があって楽しい気持ちになります。現代アートは、それぞれの構成物の意味などを鑑賞者としては深読みすることが多いのですが、彼には当然色々な思いがあるのでしょうが、思想のための作品というのではなく、作品としての作品を鑑賞者が思うままに考えて楽しめる空間でした。

2. NY: ニューヨークフィルとピアニストLang Lang演奏のオペラ作曲家Tan Dun新曲の世界プレミア
Tan Dunの作品は、以前サントリー美術館のTeaという作品を観て以来です。Lang Langに関しては、とても有名な若きピアニスト、以上のイメージがなく。お伝えしておきたいのは、私は特段クラシックやオペラを聴き込んでいるわけではなく、こうした音楽は完全な素人です。その上で、氏の演奏はとてもダイナミックで惚れ惚れ。それにしても、上記のCai Guo-Qiang氏然り、ニューヨークのアート界、音楽界共に、中国勢が圧倒的な存在感を見せていた印象でした。

3. Buenos Aires: Centro Culturel BorgesでJulio Boccaのアルゼンチンバレー
踊りを見るのが好きで、その一貫でバレーも時々観ます。身体とリズム、身体の可能性を感じるということでは、スポーツ好きと相通じるところがあるのかしら。アルゼンチンバレーは三部構成になっており、第一部はサンバ的な音楽とモダンダンス、第二部以降はタンゴとバレーの融合ということで、かなりアヴァンギャルドな、タンゴ特有の哀愁さとバレーが美しく。蛇足ですが、Borgesは様々なアート活動を進めていて、イメージでは東急文化村と思っていただければいいかと思うのですが、彼らの美術館はブエノスアイレスで一番素敵な現代アートの美術館と言っても差し支えないかもしれません。アートとお金、支援団体の関係についてヒントを与えてくれるなと思いました。


友人の一人はインドを旅行した彼からの葉書きがまだ手元に着いていないんだ、と言っていました。彼がインド旅行をしてかれこれ三年間。旅の走り書きは今頃どこにあるのでしょう。いつか彼女の手元に葉書きが着くことがあるのか、それかまだタイムカプセルを開封するには時期尚早ということかしら。
by Haruka_Miki | 2008-04-29 00:00 |
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